猫のエルは/町田康/ヒグチユウコ

町田さんならではの言い回しとテンポで、独特な世界観の短編集。文庫版です。

全編通して、猫目線で人間世界を見ています。1編目の「諧和会議 (かいわかいぎ)」は、言葉によって人間が滅びた、その後の世界を生きる動物たち、というテーマ。 動物たちが人の言語を理解するようになったのに、猫だけが今までと変わりません。言葉遣いが少し難解ですが、自由奔放すぎる猫をどう御するかを会議で話し合うシーンはなかなか読み応えがあります。
昔の飼い猫と出会う「ココア」。サビ猫ココアの描写からは、町田さんの愛が溢れていて胸がぎゅっとなりました。亡くなった猫に、こんな風に思われていたら救われるのですが…。
ヒグチユウコさんの描くサビ猫も最高。町田康さん＆ヒグチユウコさんファンにはおすすめの一冊です。

〈収録作品〉
諧和会議
猫とねずみのともぐらし
ココア
猫のエルは
とりあえずこのままいこう
(全5編)

猫のエルは
著：町田康
絵：ヒグチユウコ
出版社：講談社
発行年： 2021年
サイズ：文庫　 136ページ

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